PSO2とプレイ日記をのんびり書いてます。チームメンバーが書くことも

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8.アークスに (双子の星に照らされて)

双子の星に、照らされて
8幕 アークスに


意識が少しずつはっきりしてくる。

「セイっ!」

自分を呼ぶ悲痛な叫び声が頭に響き渡る。
あまりの音量に顔をしかめる。
右腕を伸ばして、うめくように声を落としてくれと呟く。

けれどきちんと伝わらなかったのか、
声の主……パティだろう、ますます声を荒げる。

「セイっ! しっかりして!」

がんがん響く声に、意識は完全に覚醒した。

「頼むから、声を落としてくれ……鼓膜が破れる」

今度はきちんと声が出た。
すると何故か吐息のかかるほどの距離にあった彼女の顔が
一瞬、きょとんとしたあとすぐに真っ赤になって

「ばか!」

思い切りを頬を殴られた。

「ってぇ!」

さすがに起きた瞬間に殴られるとは誰が想像できただろうか。
文句を言おうとするが、

「無事、なんだよね?」

パティの本気で心配そうにしている表情に頷くだけにした。
体を起こすと見回す。
どうやら自分はメディカルルームのベッドに寝かされていたらしい。

「どこか体に違和感や痛みところはありませんか?」

尋ねてきたのはナース服の女性。
大人びたやわらかい物腰で、優しく問いかけてくる。

「えっと……。右腕が少しだけ痛みます」

そう言ってから、頬に手を当てる

「さっき殴られたここが一番痛みます」

「セイっ!」

ナースは苦笑した。

「それだけ彼女はあなたのことを心配していたのですよ。
 勿論、それはあの子も同じです」

視線を追うと、そこには

「……良かった」

ぼろぼろと涙を流しながら、床に座り込む少女。

「ティア……」

普段は落ち着いてる少女のその姿に、
心配をかけてしまったのだと改めて思った。

「ふふっ、貴様たちは面白いな」

「……ん?」

それはロックベアとの戦いの最後に聞いた少女の声。

「どうなるかと思ったが、結果オーライということだ」

随分と偉そうで上から目線で、けれどそれが不思議と板についている。
ウィオラキャップをかぶった、淡い赤色の髪を持つ少女。
全体的に朱色で統一されているその姿は、まるで炎のよう。
けれどまあ、身長はパティやティアよりも小さいし、どう見ても……

「……子供?」

ドカッ!

呟いたセイの右腕が目にも留まらない勢いで、杖で殴られた。

「いって! いきなり何しやがる!」

「セイ! この人は……」

思わず殴り返そうとしたセイをパティが押しとどめる。
少女はそんなセイの様子を静かな目で見て「ふむ」と呟く。

「フィリア。こいつに怪我の症状を伝えてやれ」

「あっ、はい」

ナースは頷く。

「あなたは右腕にダーカーの汚染を受けて意識を失いました。
 幸いにも『軽度な』汚染だったため、治療して今に至ります」

軽度な、というところを彼女は強調した。

「右腕に巻いた包帯はフォトンを活性化させた特別製です。
 少し窮屈かもしれませんが治療のためにも絶対はずさないでください。
 週に一回の検診の時に新しいのに変えますから」

セイが何かを質問するのを拒むかのように彼女は早口で告げる。

「今回は無事で済みましたが、しかしダーカーに汚染されたのは事実です。
 余計な心配をされては困るので、あまり言いふらしてはいけませんよ」

それだけ説明して、彼女は不遜な少女に視線で問いかける。

「そういうことだ」

少女は満足そうにニヤリと笑った。

「喜べ、セイ=ミズラ。
 貴様のダーカーおよび侵食された原生生物との戦いが評価された。
 よって貴様はアークスとして認められることになったぞ」

「えっ……修了任務、あれで合格なのか?」

「そうだと言ってる。晴れて貴様は名誉あるアークスの一員となった」

もう合格とかは無理だと思っていただけに、セイは嬉しくなる。
だが少女は「ただし」と言葉を続けた。

「貴様が勝手に単独行動を取ったのは事実だ。
 それが命取りになる可能性があるというのはわかっただろう?」

心配そうなパティと、泣いているティアを見る。

「今後はしばらくチーム『パティエンティア』と行動を共にしろ。
 これは決定事項だ。守れなければアークスとしての資格は失うぞ」

「えっ!?」

驚いたのは姉妹だった。
セイはてっきり本人たちの了承済みなのかと思ったが違うらしい。

「問題はないだろう?」

「えっ、その……うん」

パティが少女の問いかけに、しぶしぶ頷く。

「さて、私は優しいからな
 先輩からの新米アークスへの餞別だ。
 セイ=ミズラ、受け取れ!」

彼女が何かを放り投げてきた。
慌ててキャッチすると、それは拳より少し大きい球体。

「マグを支給する。
 貴様を守る力となると同時に、アークスとして相応しいか観測する。
 ふっふっふっ、至らないと判断したらすぐ資格を剥奪だぞ?」

「いちいち、一言多いな」

意地悪そうに笑って、少女はメディカルルームから出て行った。

「なんなんだ……あいつ」

フィリアのまくしたてるような説明、
偉そうな少女の一方的な通知。
そして必死に自分の名前を呼んでいたパティと、
床に座りこんで泣いているティア。

自分が意識のない間に、一体、どんな話がされていたのだろう。

何気なく右腕を見る。

包帯に巻かれて全く肌が見えない。

腕が、少しうずいた気がした。

フィリア

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7.双子の星 (双子の星に照らされて)

双子の星に、照らされて
7幕 双子の星


どこまでも、どこまでも、落ちる感覚。
どんどん周囲は暗くなっていき、
右腕から始まり自分の姿が見えなくなっていく。
自分という存在が薄れてくのが、なんとなくわかった。

人は死ぬ間際に走馬灯で今までの自分の過去を見るという。
だけどセイには何も見えなかった。
最後……になるのかもしれないというのに、
こんな真っ暗なところで何も見えずに終えるのは勿体無いなと思う。

だからふと、自分がどうしてアークスになったのかということを考えた。

両親は優秀なアークスだったと聞く。
けれど自分が幼い頃に、いなくなった。
未開惑星に向かう途中のキャンプシップが事故で墜落したのだという。
死体も見つかり、死亡が確認された……それだけだ、自分が知っているのは。

どんな活動をしていたのか、どんなアークスだったのか。
資料では知ることはできたが、まるで想像ができなかった。


――だからアークスになろうと決めた。
  両親がどんな想いで過ごしていたのかを知るために。


その想いだけを抱えて生きてきた。

けれどそれも、もう叶わぬことのようだ。
アークスになれないまま、セイ・ミズラの一生は終わる。

ふとさっきまで一緒にいた双子のアークスの姿が浮かんだ。

調子が良い姉に、それをフォローする妹。
とても先輩には見えない頼りない感じなのに、
けれどここぞという時は震える心を押さえつけて立ち向かっていた。
もし自分一人だけだったら戦う気力すら沸かなかっただろう。
でも、彼女たちに格好悪いところは見せれない……
そんな思いだけで勢い任せに戦った。

叶うことならば、彼女たちと一緒に冒険をしてみたかった。

素直にそう思う。


……っ!


目を閉じそうになった時、何かが聞こえた気がした。

上を見上げる。
そこには小さく光っているものがあった。

……イっ!

もしかして、自分の名前を呼んでいるのだろうか。
動かなかったはずの右腕を、無理やり光のほうへと伸ばす。

……セイっ!

光は一つではなかった。
二つの光がそっと寄り添いあうように並んでいる。


まるで、双子の星のようだ。

その輝きへと手を伸ばす。
すると、星たちはどんどん自分を照らすために近づいてくる。


ああ、あの暗がりを照らしてくれる輝きがある限り、
まだ自分は大丈夫なんだと、心から思えた。



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6.戦うということ (双子の星に照らされて)

双子の星に、照らされて
6幕 戦うということ

セイは「どうする?」と先輩アークスたちに視線で問いかける。
パティは」無理無理」とぶんぶんと首を振って答える。
半眼になる研修生とか弱い乙女アピールをする自称NO1情報屋アークス。

「でも……」

口を開いたのはティアだった。
彼女は指を指す。
ロックベアの肩から鮮血のように忌々しい赤い粒子を放つ侵食核を。

「あれさえなくなってしまえばいいんだよね?」

言うのは簡単だ。
けれどあの巨体の肩にある侵食核を攻撃するのは中々に難しい。

「私が注意を引き付けるから……」

妹の言葉に、姉は一瞬驚いたがすぐに頷く。

「アタシが動きを止める!」

そして姉妹のアークスは研修生に決意の篭った瞳を向ける。
それを見て、セイは

――ああ、彼女たちはやっぱり先輩のアークスなんだな。

そう思えた。
アークス研修生として今まで何度か実地任務を行ったこともあるけれど、
自分が何もわかっていなかったと痛感する。
フォトンの感能力の高い自分は戦うことでは
他の研修生の中でも優秀な部類に含まれている。
ただ思うように戦えば結果がついてきた。
それが戦うことだと、ついさっきまでは思っていた。

だけど……戦うということ、それは命がけのモノなのだ。

「任せろ! 俺が侵食核を潰す!」

彼女たちはまだひよっこの自分を信じてくれている。
ならば、応えるだけだ。

ォォォォォ!

ダーカーに侵されたロックベアが吼える。
パティは左に、セイは右に散開した。

「いくよ……!」

ティアがローザクレインを取り出す、フォトンを収束させる。
明るい赤い光が彼女を包む。

彼女が発動させようとしているのは炎のテクニック。
ナベリウスに生息する原生生物たちは総じて炎を嫌う。
侵食核に憑かれたロックベアも考えることもなく
「あれは自分に害を成すモノ」と直感していた。
威嚇しながらゆっくりとした歩みでティアへと迫る。

「……ギ・フォイエ!」

フォトンを収束させ起爆し、任意の場所を爆発させる中級テクニック。
突如として顔面に炎の爆発が生まれたことで獣は仰け反り、
そして炎は剛毛に燃え移り体を燃やしていく。

「フォイエ! フォイエ!」

追い討ちするように連続で炎の玉を射出する。
それでも歩みを止めないロックベアは左腕を薙ぎ払おうとするが……

「これでどう!」

左手側から飛来したワイヤードアーチが絡みつく。
ロックベアは力任せに引っ張ってちぎろうとするが……

「ふふんっ! できっこないよ!」

ワイヤーの持ち手は巨大な大木の幹にくくりつけられていた。
宇宙船のワイヤーフックにも使われているワイヤーの強度は、
「たかが巨大なクマ程度」で引き千切れるはずがない。

「パティちゃん、ありがとう!」

ティアがミラージュエスケープで後方に逃げようとする。
けれど、慌てていたためか

「あっ……」

後ろにあった岩に躓く。
その隙を逃さなかったロックベアが残った右腕ですかさずティアを掴む。

「ティア!」

悲痛なパティの声。

「ぅぅ……」

握りつぶさんとばかり力に、苦しそうな声をあげるが、

「今……だから!」

ロックベアは今は左腕は拘束されて、右腕を降ろしてティアを捕まえている。
動きは完全に止まっていた。

「本命は俺なんだよ!」

飛び出したセイが右腕の上を駆け上がり、侵食核のところまで辿り着く。

「……これが、侵食核」

赤い、本能的な嫌悪感を覚える存在。

「……!」

ここまで来たらもう全力で技を叩き込むだけだ。
セイはチャージをして、己の全てを槍に込めた。

「アサルトバスター!」

体ごと押し込む勢いで右手に持った槍を突っ込む。

ォォォォォォォ!

矛先が突き刺さった瞬間にロックベアが吼える。
それは断末魔の叫び。
これで決まったとセイは確信したが……

「なっ!」

突き刺した槍が止まらず、そのまま侵食核の中に沈んでいく。
まるで沼に突き刺したかのように、どこまでも。
慌てて引き戻そうとするが、勢いが止まらずに槍を持った右腕が沈む。
結果として、二の腕近くまでロックベアの体にめり込んでしまった。

「うわああああ!」

指先から不快かな感覚が這い上がってくる。
そして氷付けになるように冷たい感覚、まるで自分のものでなくなるような。
まるでダーカーに喰われているかのようだ。

本能的に、危険な状態なのは確信してしまう。
けれど、抜こうにもぴくりとも動かない。

「セイ!」
「逃げて!」

悲痛な姉妹の声、けれどどうしようもなかった。
体を蝕んでいくノイズに、セイが意識を手放す瞬間――

「やれやれ……詰めが甘いな!」

見知らぬ少女の声を聞いた気がした。

ローザクレイン

グレイブ

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5.侵食されたモノ (双子の星に照らされて)

双子の星に、照らされて
5幕 侵食されたモノ


――ズゥン……

地響きを立てて、ブリギッタが「強力な敵性反応」と呼んだモノは着地した。
ティアは端末でデータを解析しながらその原生生物の名前を叫ぶ。

「ロックベア……!」

それはあたかも巨大な岩のようだった。
二足で立った姿は体長は優に3メートルは超え、
巨大な腕で胸板を叩いて威嚇してきている様は
場慣れした例えアークスたちでさえ恐怖を覚えるだろう。
剛毛に覆われているため、一層大きく見ているのもある。
名前は「ベア」だが、どちらかというとゴリラを思わせる姿だ。

硬化した筋肉がまるで鉄板のようにその堅牢さを誇示している。
ブンブンと振る腕の攻撃に直撃すればひとたまりもない。

けれどそれだけではなかった。

「嘘……登録されている固体平均値より凄く強い……!」

ロックベアの肩には、まるで血の花が咲いたかのように、
赤い粒子が溢れ出ていた。

「あ、あれは何なんだよ!」

叫ぶセイに、パティが震える声が告げた。

「侵食されているんだ……」

「え?」

「ダーカーたちの侵食核が、ロックベアを蝕んでいるの!」

本来、ロックベアはそこまで好戦的な原生生物ではない。
堅い体も、他の原生生物から襲われないように「見せている」だけなのだ。

けれど「侵食」されると、元の本能やら全て狂わされてしまう。
ただ狂気に憑かれて暴れ続けて……いずれは自滅する運命を例外なく辿る。

『確認しました!
 その固体が……その侵食核が空間に干渉しています!
 それさえなくなれば、帰還できます!』

ブリギッタはそう言うが、
実際に目の当たりにするとそれは難しいのではないかと思う。
それくらいに、目の前のロックベアからは「危険な臭い」がする。

パティは誰にではないが恐る恐る尋ねる。

「自滅するのを待つ……じゃ駄目かな?」

セイは首を振る。

「もしかしたら振り切ったダーカーや、他のダーカーが来るかもしれない……。
 今、ここで倒してしまうのが一番確実だと、思う」

「はは……そう、だよね」

――ォォォォォォォ!

ロックベアの雄叫び。

「くるぞ!」

ただ力任せに拳を振り下ろしてくる。
セイは端末を弄って解析していたティアを抱えて横に飛ぶ。
そしてパティは

「わわわわ……!」

背中から取り出した、ブーメランのような武器を右手で投げる。
勢いよく射出された矛先は木の枝に絡みつき、
体の軽いパティを体を簡単に引き寄せた。
間一髪、ロックベアの豪腕から逃れて、
木の上でほっと安堵の息をつく。

――ワイヤードランス。
手元にある持ち手からワイヤーで刃を飛ばして攻撃するという、
ハンターが使う中でも飛びっきりトリッキーな武器だ。
彼女が持つのはその中でもワイヤードアーチという刃が横に広い種類だ。

そして左手に持っていたもう一本のソードを投げ、
伸ばしきったロックベアの腕に絡める。

「ホールディングカレント!」

フォトンを込めて、ワイヤー越しに電流を流し込む。

……ォォォォォォン!

突如として流れた電流にロックベアがたまらずに吼える。

ティアを降ろしたセイも動きの止まった敵へと攻撃を続ける。

「スピードレイン!」

グレイブを素早く何度も左右に振る。
フォトンを込めた矛先は衝撃はを生み出し、
槍が届く距離でもないというのにロックベアの腕を切り裂いていく。
連携攻撃に効いたかと思ったが……

ァァァア!

まるで怯むこともなく、大きく腕を振り上げた。

「あわわわわわ!」

腕に絡み付いていたワイヤーが引っ張られて、
枝に乗っていたパティが宙を舞う。

「パティちゃん!」

ティアが取り出したローザクレインの羽を持ち、
その場でフォトンを開放してテクニックを発動させる。

「ザン!」

三つの風の刃が飛び交う。
二つはロックベアの顔と胴体に直撃し、
残り一つは……

シュン!

パティとロックベアを繋いでいたワイヤーを切断する。
それによりロックベアの胸元へ飛び込むこと軌道からは逸れた。

「ぇぇぇぇ!」

受身もへったくれもなく、体制を崩して仰向けに落下するパティを

「よっと!」

セイが彼女をキャッチする。
いくらセイがハンターで体格が良いとはいえ、
さすがに勢いよく飛んできた人をきちんと抱えるのは無理があった。

「って!」

「わっとと!」

きちんとお姫様抱っこの姿勢で受け止めたものの、
尻餅をついて後ろに無様にこけてしまった。

「お……おもてぇ」

「えっちょ、アタシの体重が重いっていうの?!」

「そういう意味ではないんだけどな……」

抗議するパティに、尻の痛みに顔をしかめるセイ。

「それにティア、ちょっと乱暴だって!
 他に方法はなかったの!」

「あのままパティちゃんが、
 彼でなくてゴリラに抱かれても良かったっていうならそのままにしたけど」

「あ、あの抱かれるって言い方は……」

何気ない言葉に顔を真っ赤にしたパティだったが

「とりあえず、俺の上から降りてくれ。重い……」

うめくセイに、「重いって何度も言うな!」と頭を叩いてから立ち上がる。
腰をさすりながらセイも立つ。

『ロックベア、まだまだ体力は有り余ってます……!』

モニターしているブリギッタからの声。
視線の先には全く傷を受けたことなど微塵も感じさせないほど、
戦意をむき出しにしたロックベアが立ちはだかる。

「ど、どうしよう……」

いつもは冷静なティアも、その足は震えていた。
遠くからはダーカーたちの気配も近づいてきているような気がする。

『他のアークスが帰還しているため、ダーカーたちの狙いはみなさんです。
 ……時間がありません。
 難しいとは承知していますが、倒すしかありません』


ワイヤー


ロックベア

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4.状況確認 (双子の星に照らされて)

双子の星に、照らされて
4幕 状況確認

「なんとか振り切ったか」

セイは額の汗を拭いながら来た道を振り返る。

「は……速いよ、セイ」

引きずられるように連れてこられたパティは、
悪態をつく余裕もなく肩で息をしていた。

「だ、大丈夫だとは思うけど……」

特に体力の低いフォースのティアは疲れきったように近くにあった石に腰掛ける。

「その、やっぱりオトコノコは体力が違うよね~。
 もっとレディたちを気遣ってくれないとモテナイよ」

「いや、アンタたちもアークスならもっと体力つけようぜ。
 それに仮にも先輩なんだからさ」

「うっ、うるさいな!
 アタシたちは情報収集力で売ってるアークスなの!」

「……全部、私が調べてるんだけどね。
 パティちゃんは垂れ流してるだけだし」

呼吸も落ち着いてきたところで、
セイは支給された通信機を改めて操作する。
けれど、ザーザーという雑音以外は何も聞こえなかった

「あっ、研修生の通信機って出力弱いから。
 待ってね、私たちのを使ってみる」

ティアが慣れた様子で通信機を取り出して操作する。

「こちら惑星ナベリウスを探索中のチーム『パティエンティア』です。
 オペレーター、聞こえますか」

するとすぐに返答があった。

『こちらオペレーターのブリギッタです。
 良かった、パティエンティアは無事だったようですね』

若い女性の声だった。
通信機の映像には、ツインテールのオペレーター姿の女性が映っている。
まだ若いながらも強い意志を感じさせる瞳が特徴的な女性だ。

「ダーカーに遭遇しました。ひょっとして……」

無事だったと開口一番に聞くということは、
何があったか把握しているということだ。

『はい。惑星ナベリウスにかつてないほどの規模でダーカーが出現しています。
 探索していたアークスはほとんど撤退しています』

その言葉にパティは身を乗り出して

「それじゃアタシたちも帰ろう!
 すぐに帰還用のテレパイプを送っちゃって!」

助かったーと言わんばかりの顔でお願いする。
だがオペレーターは申し訳なさそうな表情を浮かべていた。

『申し訳ありません。
 パティエンティアの座標は把握しているのですが……』

嫌な予感がしたが、あっさりとオペレーターは告げる。

『帰還用のテレパイプを転送できません。
 ジャミング……とはまた違った何か……。
 恐らくはダーカーの存在が影響している可能性が高いです』

三人は顔を見合す。

「それじゃ、アタシたちどうやって帰ればいいの!?」

悲痛な叫び声に、彼女は言い辛そうに

『ダーカーたちが離散するまで隠れてやり過ごすか……』

そこで一度言葉を区切る。

『干渉している敵性反応を撃破するかです。
 過去の例からも、単一の固体がキーとなってる可能性は高いようです。
 逆に言うと……その存在が近くにいる限り、帰還はできません』

「そう、ですか……」

パティとティアは肩を落とす。
その様子にブリギッタは辛そうな表情を浮かべつつも続けた。

『それと、大変な状況というのは重々承知しているのですが……』

ティアはひょっとしてと、セイの顔を見る。

「もしかして、アークス研修生の終了任務……巻き込まれたんですか?」

ブリギッタは一瞬驚いた表情で状況を伝える。

『はい。ダーカーの襲撃を受けて教官と多くの研修生が犠牲になりました。
 しかしまだ、安否の不明の研修生がいるのです。
 もし見つけたら、保護を頼みたいのです』

「なんだって!」

今まで黙って見ていたセイがたまらず叫ぶ。

「あんなにいたのに、みんなやられちまったのか!?」

『あなたは……研修生のセイ・ミズラ。
 良かった、無事だったのですね』

「迷……偶然、離れていた時にダーカーに襲われたんだ。
 それで、何人……誰が生きているんだ!」

まくしたてるセイをパティはなだめる。

「叫んだって仕方ないよ。落ち着こうよ、ね?」

「あ……悪い、ブリギッタさん」

ばつの悪そうな顔をするセイにオペレーターは首を振る。

『いえ、無理もありません。共に学んできた仲間なのですから。
 幸いにもベテランアークスのゼノが二人の研修生を保護しました。
 一人はアフィン。それともう一人は……』

そこまで話してから、ブリギッタは突然に表情を引き締めなおして叫んだ。


『――気をつけてください!
 強力な敵性反応が近づいてます!』



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